「胃がんになると、どのような症状が出るのか」「胃痛や胃もたれがある場合、どの程度進行しているのか」と気になっている方もいるかと思います。
胃がんでは、胃の痛みや不快感、胸やけ、吐き気、食欲不振、貧血、黒い便などの症状がみられることがあります。さらに進行すると、食事がつかえる感じや体重減少などが現れる場合があります。
ただし、胃がんの症状と進行度は必ずしも一致しません。
国立がん研究センターによると、胃がんは早期の段階では自覚症状がほとんどなく、かなり進行していても症状がない場合があります。
そのため、
「症状が軽いから初期」
「体重が減ったからステージ3以上」
といった判断はできません。
この記事では、胃がんでみられる主な症状を紹介したうえで、早期胃がん・進行胃がん・ステージⅠ~Ⅳの違いについて分かりやすく解説します。

胃がんでみられる主な症状
胃がんでみられることがある代表的な症状は次の通りです。
| 症状 | 主な特徴 |
| 胃の痛み | みぞおち周辺などに痛みを感じることがある |
| 胃の不快感・違和感 | 胃が重い、すっきりしないなど |
| 胸やけ | 胸からみぞおち周辺に不快感を感じる |
| 吐き気 | 胃の不調に伴って現れることがある |
| 食欲不振 | 食事量が減る場合がある |
| 貧血 | 胃がんからの出血などによって起こることがある |
| 黒い便 | 胃から出血すると黒っぽい便になることがある |
| 食事がつかえる | 進行胃がんでみられる場合がある |
| 体重減少 | 進行した胃がんでみられる場合がある |
国立がん研究センターでは、胃の痛み・不快感・違和感、胸やけ、吐き気、食欲不振などを代表的な症状として挙げています。また、がんから出血すると貧血や黒い便がみられることがあり、食事がつかえる、体重が減るといった症状では進行胃がんの可能性もあるとしています。
ただし、これらは胃がんだけに現れる症状ではありません。
胃炎や胃潰瘍などでも似た症状がみられるため、症状だけから胃がんかどうかを判断することはできません。
胃がんの進行度は症状ではなく「ステージ」で決まる
胃がんの進行度は、症状の数や強さによって決まるものではありません。
胃がんでは、主に次の3つを組み合わせたTNM分類によってステージを判断します。
- T:がんが胃壁のどこまで深く入り込んでいるか
- N:胃の近くにあるリンパ節への転移があるか
- M:離れた臓器やリンパ節への転移があるか
ステージはⅠ期・Ⅱ期・Ⅲ期・Ⅳ期に分類され、数字が大きくなるほど進行した状態を示します。
つまり、
「胃痛があるからステージⅡ」
「体重減少があるからステージⅢ」
と症状だけからステージを推測することはできません。
「早期胃がん」と「進行胃がん」の違い
胃がんでは、ステージとは別に「早期胃がん」「進行胃がん」という表現が使われます。
国立がん研究センターでは、がんの深さが胃の粘膜または粘膜下組織までにとどまっているものを早期胃がん、それより深く広がっているものを進行胃がんとしています。
つまり、「早期」という言葉は症状の軽さではなく、胃壁のどこまでがんが広がっているかを表しています。
早期胃がんでも症状が現れる場合がありますし、進行胃がんでも症状がほとんどない場合があります。
早期胃がん|自覚症状がほとんどないことも多い
早期胃がんでは、自覚症状がほとんどない場合があります。
国立がん研究センターでも、胃がんは早期の段階では自覚症状がほとんどないと説明しています。
そのため、
- 胃痛がない
- 胃もたれがない
- 食欲がある
- 体重が減っていない
といった状態でも、症状だけから胃がんの有無を判断することはできません。
一方、早期胃がんでも胃の痛みや不快感、胸やけなどがみられる場合があります。
早期胃がんでみられることがある症状
早期胃がんでも、次のような症状が現れる場合があります。
- 胃の痛み
- 胃の不快感
- 胃の違和感
- 胸やけ
- 吐き気
- 食欲低下
ただし、いずれも胃がん特有の症状ではありません。
特に胃炎や胃潰瘍でも非常によく似た症状が現れます。
そのため、「胃の調子が悪い」という感覚だけから早期胃がんかどうかを判断することはできません。
ステージⅠの胃がん|症状がないこともある
ステージⅠは、胃がんの中では比較的早い段階に分類されます。
ただし、ステージⅠといっても、がんの深さやリンパ節転移の状態によって内容は異なります。
この段階では目立った症状がないケースもあります。
胃炎や胃潰瘍などを調べる目的で内視鏡検査を行った際に、偶然胃がんが見つかることもあります。国立がん研究センターも、胃炎や胃潰瘍などのために内視鏡検査を受けたときに胃がんが偶然見つかるケースがあるとしています。
ステージⅠだから特定の症状が出る、というものではありません。
ステージⅡの胃がん|胃の不調が現れることがある
ステージⅡでは、がんが胃壁のより深い部分まで広がっていたり、リンパ節への転移が認められたりする状態が含まれます。
症状としては、
- 胃痛
- 胃もたれ
- 胃の不快感
- 胸やけ
- 食欲低下
- 吐き気
などがみられることがあります。
ただし、これらはステージⅠでもステージⅢでも起こり得ます。
「胃もたれが強くなったからステージが上がった」と判断することはできません。
ステージⅢの胃がん|体重減少や食事のつかえが現れることもある
ステージⅢでは、胃壁の深い部分までがんが広がり、周囲のリンパ節にも転移している状態などが含まれます。
進行胃がんでは、
- 食欲不振
- 食事量の減少
- 体重減少
- 貧血
- 黒い便
- 食事がつかえる感じ
などがみられる場合があります。
特に胃の入り口や出口付近ががんによって狭くなると、食べ物が通りにくくなり、「食事がつかえる」と感じることがあります。
国立がん研究センターでも、食事がつかえることや体重減少は進行胃がんでみられる可能性がある症状として挙げられています。
ただし、ステージⅢでも症状が目立たない場合があります。
ステージⅣの胃がん|胃以外にもがんが広がった状態
ステージⅣは、がんが胃から離れた臓器やリンパ節などへ転移している状態です。
胃がんのステージは、胃壁への深さだけでなく、リンパ節転移や遠隔転移を含めて決まります。
この段階では、
- 食欲低下
- 体重減少
- 吐き気
- 嘔吐
- 強い倦怠感
- 腹部の不快感
などがみられることがあります。
ただし、ステージⅣだからといって特定の症状が必ず現れるわけではありません。
胃がんは、かなり進行していても症状がないことがあります。
胃がんは進行していても症状がないことがある
胃がんの症状を考えるうえで特に押さえておきたいのが、症状の強さと進行度が必ずしも比例しないことです。
国立がん研究センターは、早期胃がんでは自覚症状がほとんどないだけでなく、かなり進行しても症状がない場合があるとしています。
そのため、
「胃が痛くないから胃がんではない」
「症状が軽いから初期」
「強い痛みがあるから進行胃がん」
といった判断はできません。
胃の痛み・みぞおちの違和感
胃がんでは、胃の痛みや不快感、違和感がみられることがあります。
例えば、
- みぞおち周辺が痛む
- 胃が重い感じがする
- 胃がすっきりしない
- 胃の奥に違和感がある
などです。
ただし、胃炎や胃潰瘍でも同様の症状が現れます。
胃痛の場所や強さだけから胃がんかどうかを判断することはできません。
胃もたれ・胸やけ
胃がんでは、胸やけや胃の不快感を感じる場合があります。
例えば、
- 食後に胃が重い
- 胃がもたれる
- 胸のあたりが焼けるように感じる
- 少量でも胃がいっぱいに感じる
といった変化です。
ただし、逆流性食道炎や胃炎、機能性ディスペプシアなどでも同様の症状がみられます。
吐き気・嘔吐
吐き気も胃がんでみられることがある症状です。
胃がんが進行し、胃の入り口や出口が狭くなると、食べ物が正常に移動しにくくなり、吐き気や嘔吐につながる場合があります。
一方で、吐き気は胃腸炎や食あたりなどでも起こる一般的な症状です。
食欲不振
胃がんでは食欲不振がみられることがあります。
例えば、
- 食べたいと思わなくなった
- 食べられる量が減った
- 少量で満腹になる
などです。
食欲低下が続くと、摂取するエネルギー量が減り、体重減少につながる場合があります。
ただし、食欲不振にはストレスや疲労、胃腸疾患などさまざまな原因があります。
体重減少
進行胃がんでは、体重減少がみられる場合があります。
例えば、
- ダイエットをしていないのに体重が減った
- 食事量の低下とともに痩せてきた
- 短期間で体重が変化した
などです。
ただし、体重減少は胃がんだけで起こるものではありません。
糖尿病や甲状腺疾患、その他の消化器疾患などでもみられます。
黒い便が出ることがある
胃がんから出血すると、黒い便がみられる場合があります。
胃から出た血液は消化管を通る間に変化するため、黒っぽい便として排出されることがあります。
国立がん研究センターも、胃がんからの出血によって黒い便が出る場合があると説明しています。
ただし、胃潰瘍などによる出血でも黒い便がみられることがあります。
胃がんによる貧血
胃がんから少量の出血が続くと、貧血が起こる場合があります。
貧血になると、
- 疲れやすい
- 息切れ
- 動悸
- めまい
- 顔色が悪く感じる
などの変化が現れることがあります。
胃そのものの症状ではなく、血液検査で貧血が確認されたことが胃の病気を調べるきっかけになるケースもあります。
食事がつかえる感じ
胃がんが進行すると、「食事がつかえる」と感じる場合があります。
胃の入り口や出口付近ががんによって狭くなると、食べ物が通過しにくくなるためです。
国立がん研究センターでは、食事がつかえる症状がある場合には進行胃がんの可能性もあるとしています。
ただし、食道など胃以外の病気でも同様の症状がみられます。
スキルス胃がんでは症状の出方が違う?
スキルス胃がんとは、胃壁を硬く厚くしながら広がっていくタイプの胃がんです。
一般的な胃がんと比べ、胃の粘膜表面に目立った変化が現れにくい特徴があります。
国立がん研究センターでは、スキルス胃がんは粘膜に目立った変化が現れにくく、進行していない段階での発見が難しい場合が多いと説明しています。また、発見時には腹膜への転移がみられる場合もあります。
症状としては、
- 胃の不快感
- 食欲低下
- 少量で満腹になる
- 体重減少
- おなかの張り
などがみられる場合があります。
ただし、症状だけからスキルス胃がんかどうかを判断することはできません。
胃がんと胃炎・胃潰瘍は症状で見分けられる?
胃がんと胃炎・胃潰瘍には、共通する症状が多くあります。
| 症状 | 胃がん | 胃炎 | 胃潰瘍 |
| 胃痛 | ○ | ○ | ○ |
| 胃もたれ | ○ | ○ | ○ |
| 胸やけ | ○ | ○ | ○ |
| 吐き気 | ○ | ○ | ○ |
| 食欲低下 | ○ | ○ | ○ |
| 黒い便 | ○ | △ | ○ |
| 貧血 | ○ | △ | ○ |
| 体重減少 | ○ | △ | △ |
国立がん研究センターでも、胃がんの代表的な症状は胃炎や胃潰瘍でも起こると説明しています。
そのため、症状の種類だけから病気を区別することはできません。
胃がんを調べる主な検査
胃がんを調べる際には、主に次のような検査が用いられます。
- 胃内視鏡検査
- 病理検査
- 胃X線検査
- CT検査
- 血液検査
それぞれ目的が異なります。
胃内視鏡検査
胃内視鏡検査はいわゆる「胃カメラ」です。
内視鏡を使って胃の粘膜を直接観察し、がんが疑われる部分がある場合には組織を採取します。
病理検査
内視鏡などで採取した組織を顕微鏡で調べ、がん細胞があるか確認する検査です。
胃がんの確定診断に重要な役割があります。
CT検査
胃がんと診断された後などに、がんが周囲の臓器やリンパ節、離れた臓器へ広がっていないかを調べます。
胃がんのステージは、がんの深さ、リンパ節転移、遠隔転移などを組み合わせて決められます。
腫瘍マーカーで胃がんの進行度は分かる?
胃がんでは、
- CEA
- CA19-9
などの腫瘍マーカーが測定される場合があります。
ただし、腫瘍マーカーだけで胃がんの有無やステージを確定することはできません。
がんがあっても数値が上昇しない場合があり、胃がん以外の原因でも数値が高くなることがあります。
腫瘍マーカーは、画像検査や内視鏡検査などと組み合わせて判断するための情報の1つです。
胃がんのステージは検査結果から判断する
胃がんのステージはⅠ期~Ⅳ期に分類されます。
判断に用いられるのは、
1.胃壁へのがんの深さ
2.リンパ節転移の有無や広がり
3.遠隔転移の有無
です。
また、治療前の画像検査や生検などから推定する「臨床分類」と、手術後に切除した病変を詳しく調べて判断する「病理分類」があり、手術前後でステージが変わる場合もあります。
つまり、胃がんの進行度を正確に把握するには、症状ではなく検査結果を確認する必要があります。
よくある質問
胃がんの初期にはどんな症状がありますか?
胃がんは早期には自覚症状がほとんどない場合があります。
胃の痛み、不快感、胸やけ、吐き気、食欲不振などがみられる場合もありますが、これらは胃炎や胃潰瘍でも起こります。
胃がんはステージⅠでも症状がありますか?
症状があるケースもありますが、ステージⅠを含む早期胃がんでは自覚症状がほとんどない場合があります。
症状だけからステージⅠかどうかを判断することはできません。
胃がんが進行するとどのような症状が出ますか?
食欲低下、体重減少、食事がつかえる感じ、貧血、黒い便などがみられる場合があります。
ただし、かなり進行していても症状がないことがあります。
胃がんはステージⅣになると必ず症状が出ますか?
必ずではありません。
胃がんでは進行していても症状がほとんどない場合があるため、症状の有無だけからステージを判断することはできません。
胃がんの痛みはどこに出ますか?
胃が位置するみぞおち周辺などに痛みや不快感を感じる場合があります。
ただし、胃炎や胃潰瘍などでも同じ場所に症状が現れることがあります。
胃がんになると便が黒くなりますか?
胃がんから出血した場合、黒い便がみられることがあります。
ただし、胃潰瘍などの消化管出血でも黒い便が出る場合があります。
胃がんになると痩せますか?
進行胃がんでは体重減少がみられる場合があります。
ただし、胃がん以外にも体重が減少する原因は多数あります。
胃がんと胃潰瘍は症状で見分けられますか?
症状だけから明確に見分けることはできません。
胃痛、吐き気、胃の不快感、黒い便など、両方でみられる症状があります。
胃がんのステージはどうやって決まりますか?
がんが胃壁のどこまで深く広がっているか、周囲のリンパ節への転移、離れた臓器などへの遠隔転移を組み合わせて決めます。
早期胃がんとステージⅠは同じ意味ですか?
完全に同じ意味ではありません。
「早期胃がん」は、がんの深さが粘膜・粘膜下組織までにとどまっているものを指します。一方、ステージはがんの深さに加えてリンパ節転移や遠隔転移などを組み合わせて決定します。
bluedropで胃がんを調べられますか?
現在、胃がんはbluedropの判定対象には含まれていません。
bluedropでは、膵臓がん・肝臓がん・肺がん・子宮がん・大腸がん・乳がん・前立腺がんの7種類に関連するリスクを判定します。
まとめ
胃がんでは、
- 胃の痛み
- 胃の不快感・違和感
- 胸やけ
- 吐き気
- 食欲不振
- 貧血
- 黒い便
- 食事がつかえる感じ
- 体重減少
などがみられることがあります。
ただし、胃がんの症状と進行度は必ずしも比例しません。
早期胃がんでは自覚症状がほとんどない場合がある一方、かなり進行した胃がんでも症状がないケースがあります。
また、胃がんの進行度は症状ではなく、
- がんが胃壁のどこまで深く広がっているか
- リンパ節転移があるか
- 遠隔転移があるか
をもとにⅠ期~Ⅳ期に分類されます。
そのため、
「胃痛だけだから初期」
「体重が減ったからステージⅢ」
といった判断はできません。
「早期胃がん」という言葉も症状の軽さを表すものではなく、胃壁へのがんの深さが粘膜または粘膜下組織までにとどまっている状態を意味します。
なお、bluedropは尿中エクソソーム内のマイクロRNAを解析し、7種類のがんに関連するリスクを判定するがんリスク検査キットですが、現在の判定対象に胃がんは含まれていません。
胃がんについて理解するときは、特定の症状だけを見るのではなく、「症状がない場合もあること」「症状だけでは進行度を判断できないこと」**をあわせて理解しておくことが大切です。

戸田匡一_202609_ビジネスポートレートのコピー.png-scaled-e1788744395643-150x150.jpg)
