尿からがんリスクは調べられる?尿がんリスク検査の仕組みと精度について解説

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尿からがんリスクは調べられる?尿がんリスク検査の仕組みと精度について解説

「尿でがんのリスクが調べられる」と聞いて、驚く方も多いのではないでしょうか。近年、尿だけで複数のがん種を同時にリスク判定できる検査キットが実用化され、注目を集めています。

この記事では、尿でがんリスクを調べられる仕組み、検査の精度、メリット・デメリット、そして利用する際の注意点について詳しく解説します。

尿がんリスク検査の種類と特徴

尿を用いたがんリスク検査には、現在主に2つのアプローチがあります。

種類検査内容特徴
マイクロRNA解析尿中エクソソームのmiRNAをNGSで解析複数のがん種を同時に判定可能。AI解析で精度向上
線虫(センチュウ)検査線虫ががんの匂いを嗅ぎ分ける多くのがん種に対応。がん全体のリスクを判定

① マイクロRNA(miRNA)解析

尿中に含まれるエクソソーム内のマイクロRNAをNGS(次世代シーケンサー)という機器で解析し、がん特有のマイクロRNAパターンと照合することでリスクを判定します。

がん種別にリスクを判定できる点が特長で、どのがん種のリスクが高いかを把握することができます。

② 線虫(センチュウ)検査

C.エレガンスという線虫は非常に優れた嗅覚を持ち、がんの匂いに引き寄せられる性質があります。この習性を活用し、尿に含まれるがん由来の匂い物質を線虫が感知することでリスクを判定します。

多くのがん種に対応しており、がん全体のリスクを判定するスクリーニングとして機能します。

尿からがんリスクがわかる仕組みとは

マイクロRNA解析において、なぜ尿を調べるだけでがんのリスクがわかるのでしょうか。そこには「エクソソーム」と「マイクロRNA」という2つのキーワードがあります。

エクソソームとは

エクソソームは、細胞が分泌する小さな”運搬カプセル”のような存在で、タンパク質や遺伝子情報などの物質を内側に包み込み、壊れない状態で体の中を運ぶ働きを持っています。

マイクロRNA(miRNA)とは

マイクロRNA(miRNA)とは、細胞内で遺伝子の働きを調整する役割を持つ小さなRNA分子です。マイクロRNAは遺伝子の働きをコントロールする“つまみ”のような存在で、病気や炎症など体の状態によって、その量が変化します。 

がんリスク検査の精度を理解するうえで、「感度」と「特異度」という2つの指標が重要です。

尿がんリスク検査の精度(感度・特異度)について

感度と特異度とは

感度(Sensitivity)がんがある人を正しく「陽性」と判定できる割合感度が低いと見逃しが増える(偽陰性)
特異度(Specificity)がんがない人を正しく「陰性」と判定できる割合特異度が低いと不要な精密検査が増える(偽陽性)

尿マイクロRNA検査の精度について

マイクロRNAを用いた尿がんリスク検査は、早期段階におけるがんリスク評価への活用が期待されています。

がんが発生した初期段階からマイクロRNAの変化が生じるため、ステージ1のような早期でもリスクを判定できる可能性があります。

ただし、現時点ではいずれの尿がんリスク検査においても精度は100%ではなく、偽陽性・偽陰性のリスクは存在します。 

腫瘍マーカーとの違い

従来の腫瘍マーカー検査では、早期がんではマーカーの値が変動しないことも多く、早期発見には限界がありました。一方、マイクロRNA検査はがん細胞が少量であっても変化が現れやすいため、より早期の段階でリスクを把握できる可能性があります。 

尿がんリスク検査のメリット・デメリット

メリット

  • 採尿するだけで完結するため針を刺すなどの痛みが伴わない
  • 自宅で完結するので病院への予約・通院が不要
  • 複数のがん種を一度にチェックできる
  • 早期段階からリスクを把握できる可能性がある
  • 採尿は数分で終わるため、短時間で完結 

デメリット・注意点

  • スクリーニング検査であり医師の診断に代わるものではない
  • 費用は全額自己負担となる
  • 偽陽性・偽陰性のリスクがある
  • 月経中の採尿は避けるなど、採取条件による影響がある

尿がんリスク検査を受ける際の注意点

スクリーニング検査であることを理解する

尿がんリスク検査はあくまでスクリーニング(ふるいわけ)検査です。「リスクあり」という判定が出ても、それはがんと確定されたわけではありません。必ず医療機関で精密検査を受けてください。

定期的な検診と組み合わせる

尿がんリスク検査は、年1回の健康診断・がん検診と組み合わせて活用することをおすすめします。単独で頼りすぎず、複数の方法でがんリスクを管理することが大切です。

結果が「リスクなし」「リスク低」でも油断しない

「リスクなし」あるいは「リスク低」などという判定は、現時点でのリスクが低い可能性が高いことを示すものであり、今後がんにならないことや、現時点でがんが100%存在しないことを保証するものではありません。定期的な検査を継続することが重要です。

尿がんリスク検査に関するよくある質問(FAQ)

Q. 尿を使ったがんリスク検査は何歳から受けられますか?

A. 検査によって異なりますが、成人以上を対象とした検査が多く見受けられます。がんの罹患リスクが高まる40歳以上の方に定期的な検査をすすめる専門家もいますが、家族歴がある場合などご不安がある場合は年齢にかかわらず早めの検討をおすすめします。

Q. 尿がんリスク検査は保険適用されますか?

A. 現在、自宅で使用するがんリスク判定キットは保険適用外となっており、費用は全額自己負担です。

Q. 通常の尿検査(健康診断)との違いは何ですか?

A. 健康診断で行われる尿検査(尿潜血・尿タンパクなど)は、腎臓や尿路の異常を調べるものです。一方、マイクロRNA解析による尿がんリスク検査は、尿中のエクソソーム内にある遺伝子情報を解析してがんのリスクを判定するもので、まったく異なるアプローチです。

Q. 月経中でも受けられますか?

A. 月経中は血液が混入する可能性があるため、月経期間を避けて採取することをおすすめします。詳細は各製品の使用方法をご確認ください。

Q. 「陽性(リスクあり)」が出たらどうすればいいですか?

A. 絶対にがんがあると診断されたわけではございません。まずはかかりつけ医や専門医療機関に相談し、CT・MRI・内視鏡などの適切な精密検査を受診されることをおすすめいたします。

まとめ

尿でがんリスクを調べることは、体内のエクソソームとマイクロRNAという生体メカニズムを活用した最新技術によって実現しています。採尿するだけで複数のがん種のリスクを一度に判定できる点は、従来の検査方法にはなかった大きな利点です。

ただし、尿がんリスク検査はあくまでスクリーニング検査であり、医師による確定診断に代わるものではありません。定期的な健康診断・がん検診と組み合わせながら、日常的ながんリスク管理の一つとして活用することが大切です。

この記事の監修者

戸田 匡一

戸田 匡一

Blue Industries株式会社 COO / 株式会社ジーンクエスト 取締役

6年制薬学部卒業後、武田薬品工業株式会社で約10年間、がん治療薬などの医薬品事業に従事。その後、治療から予防・検査へ領域を広げ、外資系ヘルスケア企業の日本法人COOとして国内予防事業を、国内医療機器メーカーの執行役員として検査機器事業を立ち上げる。

現在はBlue Industries株式会社COOとして事業・技術両部門を管掌し、がんリスク検査の社会実装を推進している。

予防・検査・治療で培った経験を生かし、専門情報を生活者が正しく理解し、行動につなげられるよう、記事の執筆・監修を行っている。

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